静脈物流の現状と当社の取り組み(前編)
電子マニフェストを中心として
株式会社 市川環境エンジニアリング(IKE)
経営企画室 島田 康弘
はじめに
当社は首都圏を中心に、一般・産業廃棄物の収集運搬・処理業を中心に事業展開する総合環境エンジニアリング企業である。
昭和46年の会社設立以降、浄化槽清掃、一般・事業系ごみの収集、産業廃棄物の処理を主たる生業としてスタートし、その後、日本で初めての廃棄物からRDF(固形燃料)を生産するプラントの稼動、容器包装リサイクル法への対応、家電リサイクル法への対応や世界に先駆けたフロンガス破壊の研究、PFI法を活用した清掃工場の建設等を行ってきた。更に昨年末には、食品リサイクル法への対応としてバイオマス発電を行い、新エネルギー(RPS)法によって発電量の3分の2を売電する事業(バイオエナジー株式会社、写真1.参照)も進めるなど環境業界をリードしてきた企業と自負している。

- 写真1. バイオエナジー株式会社(BE)プラント全景
- 所在地
- : 東京都大田区城南島3-4-4(東京都スーパーエコタウン内)
- 能力
- : 処理能力110t/日、発電量24,000kwh/日
- 特徴
- : 大都市から排出される食品廃棄物が対象、14t/日のCO2排出削減、農林水産省バイオマス・ニッポン総合戦略のモデル施設
- URL
- :
http://www.bio-energy.co.jp/index.php
「ロジスティクス」という概念で、当社を含め業界の物流、いわゆる静脈物流を俯瞰してみると、管理指標の選択・数値化、日常業務の自動化・IT化など物流の基本機能整備が非常に遅れている。業界ではハンドリング対象物(廃棄物)の移動履歴管理票、適正処理完了の証書としての役割を持つマニフェスト(廃棄物処理法で使用が義務付けられている産業廃棄物管理票)の電子化を進めているが、これが静脈物流システム構築の第一歩となることを期待したい。当社は日本における電子マニフェストの導入当初から約8年に渡りその運用を続けてはいるが、その実施率は小さく、業界全体でも3.5%程度と普及が著しく遅れているのが現状である。そこで本稿では、電子マニフェスト導入の現況を述べることで静脈物流の一端を報告したい。
廃棄物ごとの物流の違い
従来、いわゆる動脈物流として捉えられる物の流れ方は、素材供給業者から素材や原料がメーカーに供給、流通業者の手を経て、小売店で販売され、消費者へ渡る、といったものであった。廃棄物は図1.に示す通り、一般廃棄物と産業廃棄物とに区分けされる。廃棄物の流れ(静脈物流)も含めた物流を捉えれば、一般廃棄物の場合、家庭・オフィスや商業施設・レストラン等から排出された廃棄物が収集運搬業者によって回収され、自治体の清掃工場やリサイクル業者にて処理・リサイクルが施され、残渣は最終処分業者へ持ち込まれる、という流れになる。

- 図1. 廃棄物の区分(環境省資料)
一方 家庭系一般廃棄物の場合は収集運搬の委託主が自治体、事業系の場合は企業となる。事業系一般廃棄物の流れを図2に示す。
産業廃棄物であれば、素材供給業者からメーカー等の主体は廃棄物を排出する排出事業者となり、そこから収集運搬業者が廃棄物を回収し、中間処理業者が処理・リサイクルを施し、その残渣が収集運搬業者によって運ばれ、最終処分業者によって最終的な焼却・埋め立て処分が行われるのが基本の流れとなる。
しかしながら、同じ廃プラでも容器包装プラスチックの場合は中間処理業者に渡る前に収集運搬業者によって「積み替え保管」が行われたり、マテリアルリサイクルにまわることもある(図3参照)。
そのため物流そのものが一つのパターンでは済まないことが多い。また、産業廃棄物ではものによって流通業者、商社といったメーカー以外も排出事業者となりうる。更には、一般廃棄物と産業廃棄物とでは図4に示すように処理責任や監督責任のある場所が異なる等、廃棄物物流の捉え方は非常に複雑である。

- 図2. 事業系一般廃棄物回収・リサイクルの流れの例

- 図3. 容器包装リサイクル法に基づくプラスチック(家庭系一般廃棄物)回収リサイクルの流れ

- 図4. 廃棄物処理法の仕組み(環境省資料)
後編では、複雑な廃棄物物流管理のシステム化推進の第一歩である電子マニフェストの運用について述べることにする。
筆者プロフィール
- 島田 康弘 (しまだ やすひろ)
- 連絡先:株式会社市川環境エンジニアリング 経営企画室
- 所在地:千葉県市川市田尻2-11-25
- TEL:047-376-1715
URL:http://www.ichikawakankyo.co.jp/

