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包装から物流、社会を考える(第三回)

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物流効率化と環境保全のために

株式会社 流通研究社<RYUKEN マテリアルフロー研究センター>流研コンサルティングセンター(RCC)統括マネージャー 橋爪 文彦

株式会社 流通研究社
<RYUKEN マテリアルフロー研究センター>
流研コンサルティングセンター(RCC)
統括マネージャー 橋爪 文彦


「包装強度評価試験としての包装貨物-落下試験」、「物流効率化の原点としての包装モジュール、ユニットロードシステムの考え方」はご存知でしょうか?包装とマテリアル・ハンドリング(荷扱い、荷役、MHと略称)の関係として、包装強度すなわち包装仕様を決定するうえで、最も意識しなければならない要因の一つがこのMHです。そして、このMH(外力、物流特性)の条件を標準化し、再現性、試験室的、評価の効率化を狙いとしたのが、前者の包装貨物-落下試験方法(JIS Z 0202)です。物流効率化の基本で、旧くて新しい合理化手段の一つである標準化の考え方が、後者の包装モジュールとユニットロードシステムです。JIS Z 0111「物流用語」の用語及び定義で、両語は次のとおりです。

【包装モジュール】
ユニットロードシステムによる流通効率化を目的として、体系化された輸送包装寸法を得るための基準となる数値。包装モジュールの倍数値又は分割数値を組み合わせて導き出した、一連の平面寸法(長さ×幅)を包装モジュール寸法という。
【ユニットロードシステム】
複数の物品又は包装貨物を、機械及び器具による取扱いに適するように、パレット、コンテナなどを使って一つの単位にまとめた貨物。この目的に合致する一個の大型の物品に対しても適用する。貨物をユニットロードにすることによって、荷役を機械化し、輸送、保管などを一貫して効率化する仕組みをユニットロードシステムという。
包装貨物-落下試験装置の一例
包装貨物-落下試験装置の一例
包装モジュールの概念図
包装モジュールの概念図
ユニットロードの概念図
ユニットロードの概念図

物流各機能(輸送、保管、・・・)と包装との関係については、前回で触れました。今回は、その中のMHにつき、物流効率化と環境保全の面で考えてみたい。
MHは、時には無駄のもとといわれる場合があります。なければないに越したことはなく、ある意味では、包装と同様であり、広くは物流自体も同様です。しかし、実際の経済、社会生活の中で、人と物が存在する限り、何らかの形で必要なことであります。MHについては、物流経路の中では、そのつなぎ(ノード)の役目を担う訳で、そのノードでの品質(商品価値)、効率(費用)、サービス(時、場)という物流品質を決める要因となります。包装との関係でみますと品質の面では、包装がその段階でどう扱われるか(例えば、MH時の落下高さ)、効率の面では、包装の形態、寸法、重量、使用材料、そして細かくは取手の有無、位置に至るまでの包装に対するMH特性が大きく関係します。特に、包装側としての環境保全や破損事故の関係でみますと、このノードの段階での包装に対する負担(強度保証としての仕様、価格)と同時に、標準化された落下保証より大きい場合の破損事故に悩まされるわけです。そして、このどう扱われるかと効率化という面は、特に人が関与する場合に、トレードオフの関係になります。その意味で、包装を担当する者は、この種々の段階でのノードに注視し、常にこの条件を定期的に調査し、包装の評価基準にフィードバックすると同時に、条件改善に向けた働きがけもしています。そして、過去作業分担と作業責任者間の力関係で、最適解としての全体最適化を求めるのが難しかったが、最近では環境保全、省資源、省エネルギーの見地に加え、業界の規制緩和の中での競争原理が働き、「トータルコストがベスト」の考え方が浸透してきています。また、近年目先のベストだけでなく、長い目でみた全体最適化の考え方が芽ばえつつあります。このことから、日本の物流近代化も本質物流に向かっており、過去の手段物流、戦術物流、戦略物流を経ての新しい物流の構築に入ったと言えます。唯、それには、ハード、ソフトのこの考え方の進歩と同時に、マネジメントとしての企業内、グループ企業内、企業間、業界内外間の体制、組織の再編成が伴えば、もっとこの考え方が促進され、実の多いものになります。

落下試験(自由落下) JIS Z 0202に規定する試験装置及び方法によって行う

落下高さ(自由落下)
総質量(Kg) 落下高さ(cm)
レベルI レベルII レベルIII レベルIV
10未満 80 60 40 30
10以上20未満 60 55 35 25
20以上30未満 50 45 30 20
30以上40未満 40 35 25 15
40以上50未満 30 25 20 10
50以上100未満 25 20 15 10

流通条件は、輸送、保管及び荷役の程度によって、次のとおり4種類に区分する。
レベルI 転送積替え回数が多く、非常に大きな外力が加わるおそれがある場合。
レベルII 転送積替え回数が多く、比較的大きな外力が加わるおそれがある場合。
レベルIII 転送積替え回数及び加わる外力の大きさが、通常想定される程度の場合。
レベルIV 転送積替え回数が少なく、大きな外力が加わるおそれがない場合。
包装貨物の評価基準の一例(JIS Z 0200「包装貨物-評価試験方法通則」抜粋)

包装と物流モジュール・ユニットロード

包装とMHを考えるうえで、最も基本となる考え方は、この物流モジュールとユニットロードです。ユニットロードについては、前述の用語の定義のごとくいわゆる“食器類等を盆でMH”であります。後者の物流モジュールは、前述の包装もジュールを発展させた考え方で、「物流の合理化及び標準化のために物流システムの各種要素の寸法を数値的に関連づけるための基準尺度をいう」と定義づけることができます。
物流モジュールは、言葉の定義では表現できても、実際の作業の中では、既存の設備・機器(貨物自動車、自動倉庫、コンベヤー等の運搬機器、パレット等の用具、フォークリフトトラック等の運搬車両機器等)との整合性、人と機器との整合性等難しい課題があります。特に、日本は高度成長時代を部分最適システムという考え方で切り抜けてきただけに、この種の考え方を導入するうえでは、ハードのほかに、ソフトが必要でありますが、このソフト面での整備が遅れており、なお一層この問題の解決を難しくしています。例えば、日本工業規格としての物流関係のJIS(約140件)を見てもおわかりのように、縦軸としての物流機能別の完備はされていても、横軸としてのシステム的には、全く不備な状況からも理解が出来ます。この物流モジュールという考え方を普及させるには、物流関係の規格類(JIS、業界スタンダード、企業スタンダードも含め)を横軸的に見なおし、横軸の規格の作成と同時に、この標準化による効果をシミュレーション的に取り纏め、尊重することが出発点になります。標準化は、即効性は難しく、時間を要する標準化は、大きな成果につながると信じて実行することです。次のユニットロードも、物流モジュールを原点としたユニットロード寸法とその効果の把握です。両者ともこの考え方の取り纏めに際しては、官、学、民の共同作業でオーソライズしない限り進まない課題であり、将来に向けた物流効率化、環境保全、省資源、省エネルギー、少子高齢化対応等での物流の大きな重要課題の一つであることも事実です。効率化、環境保全、省資源、省エネルギー、少子高齢化対応等での物流の大きな重要課題の一つであることも事実です。

物流モジュールによるユニットロードシステムの概念図((社)日本パレット協会「ユニットロード年鑑」より借用)
物流モジュールによるユニットロードシステムの概念図
((社)日本パレット協会「ユニットロード年鑑」より借用)

包装とMH機器

物流センターでのハードの合理化は、MH機器を如何に上手に使用するかですが、その前提は“何を”扱うかが重要です。すなわち、対象物としての包装体です。荷受段階のコンベヤー、フォークリフトトラック等、積込み段階のラックや自動倉庫等、そして、出荷(出庫)段階のコンベヤー、フォークリフトトラックがあります。それぞれが包装体との整合性が求められます。包装体によっては、特殊なコンベヤーが必要になります。また、一方これらのMH機器との関係で包装体に求められる特性も出てきます。仕分けの段階では、包装体の側面強度、コンベヤー段階では包装体の底部の強度等です。そして、この包装とMH機器との整合性の中で出てくるのが、やはり前述の寸法、そして重量、仕様(形態、強度、材料等)であります。物流センター構築に関しては、両者の整合性と時には、開発段階での同期化がベスト投資をするための必要で十分条件になります。包装側は、「包装の価格は最小に!」、MH機器投資側は、「効率的で金のかからないシンプルな機器!」を主張することになります。その点での基本的なコンセプトは、「標準化」、「単純化」、「安定性」、「容積小」、「重量軽」につきます。

物流の中の合理化の如く、その合理化がトレードオフになる場合、全体最適化を基本に、その基本コンセプトを明確にし、それをよく理解し、尊重して合理化計画を策定し、実行することです。そしてお互いの対立が出れば、基本コンセプトに戻ることです。その意味で包装とMH機器においてもこの考え方で投資や合理化を進めたいものです。
最後に、包装もMHも物流経路における始めの段階から終わりの段階まで関与すると同時に、物流経路の中で多種多様な条件の中での関与となります。機器あり、人手あり、一個の時あり、多数個の時あり、昼があり、夜があり……であります。時には、MHは、海外に於ける人の習慣にも関与する場合があります。そこに難しさと同時に、面白さがあると思えば楽しい人生になると思います。新しい発見、発想を求めて。

包装とMH及びMH機器
包装とMH及びMH機器

まとめ

包装をMHの中でのあるべき姿を紹介してきましたが、これらの実行は、ご存知のとおり種々の制限条件(費用分担、投資分担、法律等)があり、難しい課題です。できることから実行で進めるしかありません。身のまわりから始めませんか。大きな、難しい、長期間の成果は、大きな目標として置き、先ず実行で。その第一歩は、関係する者のコミュニケーションからです。筆者もその意味で従来からの努力に年齢を加えて、明日から努力をすることにします。機会があれば、読者の方とのご意見交換の場からスタートができればと思いつつ。

筆者プロフィール

橋爪 文彦 (はしづめ ふみひこ)
経歴
電機製造企業にて、包装からの物流最適化の実務(24年)
物流専門企業にて、物流技術を通じ物流最適化の提案営業(10年)
包装専門企業にて、包装を通じ物流最適化の提案営業(9年)
現在
流通専門誌発行出版社にて、研究会・勉強会・見学会の運営
中小企業の物流の研修講師・コンサルティング
物流関係の学校・機関の研修講師、物流関係誌での記事・連載講座等
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