次世代型自動倉庫「シンクロナイズドシステム」
次世代型自動倉庫「シンクロナイズドシステム」
わが国で初めて自動倉庫を誕生させて以来40年。当社はトップメーカーとして常に、お客さまの物流合理化ニーズを先取りした用途開発、技術開発に取り組んできました。
中でも、高能力化のための研究開発は、いわば最終ゴールのない最重要テーマのひとつ。最新のドライブ技術・制御技術を駆使して、スタッカークレーンや荷捌き設備の高速化を図り、より一層能力の高いシステムの開発に力を注いでいます。その成果として2002年、入出庫処理能力が最大300ケース/時を可能にした「マジックソーティングシステム(MIII)」を、2004年には走行速度世界最速(500m/分)で最大処理能力500ケース/時の「ファインストッカー HV-1」を開発、発表しました。さらに、これまでの自動倉庫の限界を越える超高能力と荷姿対応機能を有した、次世代型自動倉庫「シンクロナイズドシステム(シンクロシステム、図1)を開発。2006年9月、東京ビッグサイトで開催された国際物流総合展に出展し、数多くの来場者から注目を集めました。本稿ではシンクロシステムの概要とその応用事例についてご紹介します。
1. 1アイルに2台のクレーンを持つ次世代型システム
自動倉庫は時代と共に進化を遂げてきました。ただ、格納棚を挟む1つの通路(アイル)に1台のスタッカークレーンという基本的な構成に変化はありませんでした。
その概念を初めて打破したのがシンクロシステムです。1アイルに2台のスタッカークレーン「ラックマスター(RM)」を装備し当社独自(世界初)の制御方式を採用。既存の自動倉庫では成し得なかった動き、大幅な能力アップを実現しました。
大きな特長として、
(1)1アイルに2台の高速RMを配置し、1台1台が1ケースずつ処理することにより時間当たり最大800ケース(入出庫合計)の高能力を達成。
(2)2台のRMが共同して大きさの異なる荷物を保管・ハンドリングできるようにした。
(3)1アイルに2台のラックマスターを備えているので1台に不具合が生じてもシステムを止めることがない。
(4)省エネでエコロジーなシステムを実現。物量の多い時は2台のRMが稼働、少ない時は1台で処理する。またRM本体を軽量化したことにより電気の使用量を減少できる。

- 図1. シンクロナイズドシステム(物流展出展仕様)
2. ピッキング補充や部品供給分野の高回転ニーズを背景に開発
シンクロシステム開発は、近年、流通・生産現場で物流量が大きく変化したことが主な動機となっています。
具体的には、配送センターにおける在庫回転率が向上してピッキングライン1ライン当たりの補充量が増加。従来型RMでは処理が間に合わなくなってきたこと。また、工場では1生産ライン当たりの生産量が増加しラインへの供給能力が1台のRMではカバーしきれなくなってきたこと、などが挙げられます。
このように流量(物流量)が大幅に増加した背景としては、企業各社がSCMを導入し、極力、在庫を減少させる方策を採った結果と考えられます。
3. シンクロシステムを組み込んだ応用事例
では、シンクロシステムをどのように使用すればよいのか。いくつかの応用例をご紹介しましょう。
(1)配送センターの応用例
a) 自動補充設備(図2)
デジタルピッキングシステムなどへの補充は従来、人手が中心。1ライン当たりの流量や品種が増加すると、人手に頼る方式では、時間当たりの処理能力や正確性は低下します。補充ケースの自動認識とシンクロシステムを組み合わせて使用することにより、こうした問題は解決できます。
b) 2次バッファシステム(図3)
ケース単位出荷が中心のセンターで利用できるシステムです。パレットから自動デパレタイズし、シンクロシステムでケース単位の2次バッファを行います。トラックへの積み込みに際して必要出荷順に高能力で処理できます。ケース出荷の人海戦術をなくすシステムです。
c) トラック直積み込み設備(図4)
ソータ+出荷前バッファとして機能し、荷捌き場の人海戦術を解消します。トラックが到着する前に、本設備に必要量をバッファし到着後、そのトラックのルートの逆順出荷を行います。
(2)工場での応用例
a) 中間バッファシステム(図5)
製造ラインの工程間では、設備の同期・ダウン対策として中間バッファ設備を設ける例が数多くあります。このようなシステムにおいても極力、在庫をなくし流量を増加させることが必要となります。そこで、中間バッファ設備としてシンクロシステムを加工機に向き合う形で配置します。2台のRMがすべての棚にアプローチでき、またどの加工機にも供給できるようにして加工工程全体の生産性向上を図ることが可能です。
b) 部品供給設備(図6)
大きさの異なるケース(部品)を2台のRMが協調して、製造工程に供給します。従来、部品や仕掛品の保管・供給は荷姿に応じて複数の自動倉庫が必要となっていました。シンクロシステムを採用することで荷姿への対応は1基の自動倉庫で可能になります。
4. さらなる進化を目指して
シンクロシステムの開発は自動倉庫の能力・自由度を数段レベルアップしました。ただ、システム応用例で想定した設備・システムでも経営環境や物流環境の変化に対応して、さらなる能力アップや新たな要求が生まれてくることは必至です。当社ではそうしたニーズを取り込みながら、今後もトップメーカーらしいシステムの開発に取り組んでいく考えです。
<Daifuku News No.182 (2007.1)より>



