小口化対応の高能力物流システム
マテハン設備は、物流センター管理システム(WMS)などの情報管理・運用システムと連携してこそ高い効果を発揮します。当社は2000年にWMS「WareNavi」を開発し、各種のマテハンシステムと連携させたSCM対応の物流システムを構築してきました。ますます小口化する出荷・配送単位に、高能力・高精度・高格納効率で対応できるシステムのモデルとして2002年10月の国際物流総合展に出品した、ケース&ピース出荷システム、移動ラックシステムをご紹介します。
1.アイテム数の増大・小口化が加速
近年、在庫削減の一貫として、川下に行くほど「必要な物を・必要な量だけ・必要な時に供給して欲しい」という要求が強くなってきました。従来はパレット単位で保管して、ケース単位のピッキングで対応できたものが、現在ではアイテム数の増大・小口化が急激に進み、ピース単位の出荷作業がますます増加。特に流通系物流センターでは、より高能力化、高精度化したピース出荷システムが求められています。

- 図1. システムモデル
2. 高能力ケース自動倉庫
ピース出荷を行うためには、保管商品をケース単位で出庫し、ピッキング・仕分けエリアに補充するのが一般的です。小口のオーダが増加すれば当然、補充物量が増加し作業負担も大きくなります。また、トラックへの積み込み降し作業の効率化をはかるための配送逆順の荷揃え、店舗別・通路別荷揃えを行う出荷前プールシステムなどのニーズも高まってきています。こうしたことから、より入出庫能力の高いケース自動倉庫が必要となってきました。
この要求に応えるため開発したのが、高能力ケース自動倉庫「マジックソーティングシステム(MIII)」(写真1)で、小口化に対応する高能力物流システムのキー・コンポーネントとして位置付けています。
MIIIは従来機種に比べ単一サイクルタイムを2分の1に短縮、時間当り最大300ケースの処理を可能にしています。また、本体重量を30%以上軽量化し、消費電力を約30%削減しました。
この高能力化は次のような要素技術の応用で可能になりました。
(1)ツインドライブ方式の採用
走行モータはスタッカークレーンの前・後部に搭載したツインドライブ方式を採用。車輪のスリップ現象を抑制し、加速度を従来比3倍の0.3G(3m/S2)にアップした。
(2)電源・信号ケーブルレス
加速度アップに伴うケーブルの揺れを防止するため、クレーン本体と昇降キャレッジを繋ぐ電源ケーブルと信号ケーブルを全廃。給電はポストに固定した絶縁トロリー線を使い、信号はケーブルレスで行える独自方式を採用した。
(3)アイドルタイム“ゼロ”
スタッカークレーンの停止と同時にフォーキングをスタートさせるなど、アイドルタイムを“ゼロ”にした。
(4)位置制御の信頼性向上
レーザー距離測定器による絶対位置検出方式を採用。非接触のため磨耗・ストレス破損がなくなり、制御もシンプルになった。
さらに、MIIIは次のような特徴を兼備しています。
(1)格納物サイズに柔軟に対応。高密度保管を実現
ラックは棚板式で、サイドクランプ方式の移載機により、折り畳み式コンテナなどのバケットから段ボールケースまで多様な荷姿・サイズの格納物に対応できる。また、従来タイプの移載機よりも荷物間のスペースを約20%削減、さらにフリーアロケーションのロジックにより、ケースサイズにあわせて棚間口当りの格納数を決定し高密度保管を実現する。
(2)予防保全システム
クレーン本体の部品の状態を常に自己監視して、メンテナンス時期を知らせる“予防保全システム”を採用。システムダウン対策を強化して、24時間稼働を強力にバックアップする。
3. 高能力ピース仕分け装置
ピース単位のピッキングシステムには、摘み取り式と種まき式の2つの方式があります。ピッキング対象となる商品荷姿、重量、アイテム数、仕分け数(オーダ数・カテゴリー数)、アイテム集約率などを勘案。手動で行うか、自動化するかを含めてどちらかの方式を採用します。 近年、納品精度向上に応えるためアパレル・家電小物などを中心に種まき式、なかでも小物ソーターの需要が増えてきています。その大きな理由は、ソーターを利用すると、投入時にJANコードを人手もしくは自動で読ませることで仕分けと同時に精度の高い検品を行うことができ、小口化によるピース品の物量増大に対応できるからです。 高能力ピース仕分け装置「サーフィンソーター ミニ」(写真2)は、時間当り最大6,000個の仕分けが可能で、次のような特徴を持っています。
(1)あらゆる荷姿に対応
乾電池、消しゴム、アパレルフラット品など、超小物から薄物までの商品を仕分けることができる。
(2)商品に優しい仕分け
スライドシュー方式で仕分けるため商品に衝撃が少ない。
(3)高い納品精度を実現
装置への投入時にJANコードをバーコードリーダで読ませることで、出荷精度の向上が図れる。
(4)EDIに対応
出荷商品(ピース品)の容積計算結果から、出荷箱の大きさの割り付けやSCMラベルの紐付けを行う。EDIに対応した納品精度の向上で店着ノー検品が可能になる。
4. 高能力ピース出荷システムの例
ケース自動倉庫を中心に小物仕分け装置、さらにデジタルピッキングシステムを組み合わせることによりピース出荷システムを構築することができます。今回の物流展には、MIIIに「デジタルピックシステム(DPS)」(写真3)、サーフィンソーター ミニを組み合わせたシステムモデル)(図1)を出品しました。
一般的なシステム・運用例としては、●ピッキング数量をデジタル表示できるピッキングステーションにMIIIからケース単位で出庫(補充)、●ピッカーは表示器の指示に従って集品ケースに総量ピッキング、●同ケースを仕分け投入口にコンベヤ搬送する、●投入口に搬送された集品用ケース内の商品を1個づつ仕分け装置に投入し、仕分けを行う、●仕分けられた商品を箱詰めし、1箱分が終われば箱単位にSCMラベルを貼付ける―、などの作業をバッチに分けて処理する一連のシステムにより、高能力でミスのない出荷体制を実現することができます。

- 写真1. マジックソーティングシステム

- 写真2. サーフィンソーターミニ

- 写真3. デジタルピックシステム
5. 高機能移動ラックシステム
出荷の小口化ニーズは、3PL・運輸・倉庫業者にとっても重要なキーワードとなってきました。これにともない物流拠点では、既設の設備・スペースを有効活用して「効率的な保管」「作業スピードの向上」「高回転・高精度の入出庫」を実現する物流システムの構築が大きな課題となっています。
この要求に応えるため開発したのが、「スピード」、「正確性」、「ローコスト」、「フレキシビリティ」を高い次元で融合させた高機能移動ラックシステムです。
同システムは以下の構成になっています。
- (1)WareNavi :入荷から保管、出荷まで、物流センター内の業務運営・管理および在庫管理を行う。
- (2)検品およびピッキング情報端末:バーコードリーダおよびRFID(無線式ID)タグリーダ・ライタ機能付きRFT(無線ハンディターミナル)(写真4)
- (3)情報媒体:RFIDタグ(写真5)
- (4)搬送設備:無線式車載端末付きフォークリフト
- (5)次元位置検出システム「WPS」(ウエアハウス ポジショニングシステム):超音波発信機(フォークリフト)、超音波受信機(ラック上部)
- (6)保管ピッキング設備:無軌条式移動ラック
「WareNavi」で入荷から出荷までをトータル管理できることはもちろん、RFIDタグや新技術WPSを利用して作業効率・出荷精度を大幅に向上することができます。しかも無軌条式移動ラックは床工事が不要なため、短工期での導入が可能です。
同システムによる代表的な運用例をご紹介しましょう。

- 写真4. タグリーダ・ライタ機能付きRFT

- 写真5. RFIDタグ
■入荷・入庫の運用例
RFIDタグを取り付けたパレットに入荷商品を積み付けながら、RFTで1箱づつバーコードを読み取り検品し、パレットと商品の紐付けを行います。RFIDタグリーダ付きのフォークリフトでパレットをすくう際にパレットIDを読み込み、そのデータを「WareNavi」へ送信、「WareNavi」により移動ラックの通路を自動開閉します。
フォークリフト作業者が通路内の空棚にパレットを入庫すると、WPSがロケーションを自動的に読み取り「WareNavi」に送信。これにより積載された商品も含めたパレット情報とロケーション情報が確定し、在庫情報の精度が飛躍的に向上します。
従来、入庫は棚間口ごとに貼り付けたバーコードを作業者がRFTで読み込ませていたため、ロケーションを間違うことがあり、在庫情報の差異やピッキングミスなどの発生につながっていました。また、その都度RFTを使う余分な作業が増えるため、作業効率は向上しませんでした。
さらに、ラックがない平置き段積みの場合は、ロケーションのバーコードを貼る場所がなくRFTでの運用は困難でした。WPSはフォークリフトの位置でロケーションを確定できるため、棚がなくても正確な在庫管理が行えるようになります。
■出庫・ピッキングの運用例
パレット単位で出庫する場合、フォークリフトの車載端末に表示された出庫指示と同時に移動ラックの該当通路が自動開閉します。フォークリフトで指定の間口からパレットを出庫する際、WPSでロケーションを自動チェックし出庫ミスを防ぎます。パレットを出庫したフォークリフトが通路から退出すると同時に、移動ラックは次の作業のある通路を自動で開きます。フォークリフト担当者は通路の開閉操作が不要で、繰り返し出庫作業を行うことができます。自動開閉機能は手動式に比べて1サイクル当たり、カウンターフォークの場合は作業時間を35秒短縮、生産性は1.9倍向上。リーチフォークの場合は24秒短縮、生産性は1.7倍向上できます(図2)。
ケース・ピース単位の出庫の場合は、移動ラックの均等開閉機能(図3)により、すべての通路を均等の幅に開き、複数の作業者が同時に作業を行えるようにします。
RFTでITFもしくはJANコードを読ませながらオーダ別(店舗別)にピッキング作業を行い、ロールボックスパレットや台車に取り付けたRFIDタグにピッキングした商品データを書き込みます。

- 図2. 自動・手動開閉の作業時間比較

- 図3. 移動ラックの均等開閉機能
■出荷作業の運用例
作業の完了したロールボックスパレットや台車を、出荷荷捌場のRFIDリーダ付きゲートを通過させタグの情報を読み取らせると、トラックNo.と積み込み順が表示されます。その指示に従いトラックへ積み込むことにより、間違いのない配送逆順位積み込みが可能となります。
<Daifuku News No.166 (2002.12)より>


